オルソケラトロジーの視力回復の原理は、どのようになっているのでしょうか?
オルソケラトロジーでは、ハードコンタクトレンズのような硬い素材のレンズを、寝る前に装用します。そうすると眠っているあいだに、硬いレンズが柔らかい角膜を変形させます。
近視は目の屈折力が強いか、眼軸が長いため、網膜の手前で焦点をむすんでいます。そこでオルソケラトロジーでは、角膜の屈折力を弱めることによって、焦点距離を伸ばし、網膜上に映像をむすぶようにするのです。
角膜の屈折力を弱めるには、角膜の中央部をへこませるように、変形させます。それによって角膜の屈折力を弱め、近視を治療するのです。
この近眼回復の原理は、レーシック手術などの角膜矯正手術でも同様です。レーシック手術では、角膜の中央部をすり鉢状に平らに削ります。それによって、網膜の手前でむすんでいる焦点を網膜まで伸ばしています。
さてオルソケラトロジーでは、寝ているあいだに、角膜の中央部をへこませます。それによって眼がさめたときに、屈折率が変化しているため、視力が回復しているのです。
そのため日中は、メガネもコンタクトレンズもすることなく、裸眼で快適に過ごすことができます。裸眼となんら変わらない視界が得られるとともに、角膜から酸素をたっぷりと取り込むことができます。
オルソケラトロジーの視力矯正は、一時的に角膜をへこませているだけです。角膜には、弾力があるのです。そのため、だんだんと角膜がもとの形に戻ってきます。
角膜の突出が少ない軽度の近視の人は、角膜の変形の戻りが少なくなります。そのため2~3日くらい装用しなくても、視力が出る場合があります。しかし強度の近視の人は、たいてい角膜がかなり突出しています。そのため角膜の戻りが早く、1日生活しただけでもとの形にもどることが多くなります。強度の近視の人は、基本的に、毎晩、コンタクトレンズをつけて寝る必要があるわけです。
このように、オルソケラトロジーは基本的に、日中は裸眼生活、睡眠中はコンタクトレンズの装用というリズムで、快適な視力回復生活を送っていくことになります。